ピルって、副作用の血栓症が怖くてなかなか手が出せないんだよね。
そもそも血栓症ってなに?
なんでピルは血栓症のリスクが上がるの?
たしかに血栓症は心筋梗塞とか死につながることもあって怖いよね。
でも発症率とか正しく理解すれば、少し考えが変わるかも!
低用量ピルの副作用でいちばん怖いのが、血栓症リスクが高まることです。
この血栓症リスクを理由にピルの服用を悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、リスクを理解してもしもの時にしっかり対処できれば、恐れすぎるものではありません。
理由は下記2点。
- 発症しても適切な治療で治せる
- ピルで発症する確率は低い(産後の約1/7)
そもそも血栓症とはなんなのか?
血栓症リスクはどれくらい上がるのか?
このあたりをしっかり理解した上で、リスクよりもピルのメリットの方が大きいと思えたなら、ピルの服用を検討してみてはいかがでしょうか。
低容量ピルの血栓症がこわい?正しく理解して考えよう
血栓症とピルの関係や症状を知ることで、漠然とした不安を解消しましょう。
下記4点について、詳しく説明していきます。
- 血栓症とは?【血管内に血の塊ができ、つまってしまう病気】
- なぜ血栓症リスクが上がるのか?【エストロゲンの凝固作用】
- 血栓症リスクはどれくらい上がるのか?【産後の約1/7】
- 血栓症の症状は?もしもの時はどうすべき?
血栓症とは?【血管内に血の塊ができ、つまってしまう病気】
血栓症:血管内に血の塊ができ、つまってしまう病気
血栓ができる部位によって、肺塞栓症・脳梗塞・心筋梗塞につながります。
服用を始めてから1~3カ月の間に起きやすいと言われているため、服用開始から数ヶ月は体調の変化に気をつけましょう。
血栓症の疑いのある症状は「血栓症の症状は?もしもの時はどうすべき?」にて後述。
病院によっては服用から数ヶ月後に、血液検査で血栓症の確認をしてくれます。(私も実際に検査してもらいました。)
最悪の場合死につながる恐れもある血栓症ですが、早期に適切な治療をすれば血栓はなくせます。
やっぱり怖い病気なのは変わらないけど、早く異常に気づけばちゃんと治療できるってことだね。
そうだね!
次は血栓症とピルの関係について。
なぜ血栓症リスクが上がるのか?【エストロゲンの凝固作用】
低容量ピルに含まれる女性ホルモン、エストロゲンにはもともと血液が固まりやすくする凝固作用があります。
このエストロゲンの血液凝固作用が、血栓症リスクを上げる原因だと考えられています。
低用量ピルを服用すると血液中のエストロゲン濃度が高くなるので、血栓症リスクが上がるようです。
血栓症リスクはどれくらい上がるのか?【産後の約1/7】
低用量ピルによる血栓症リスクの、気になる具体的な数値について。
日本産婦人科学会が刊行している日産婦誌65巻9号で、次のように記載されています。
OC 非服用者の VTE の発症率は1万人当たり1~5人であり,OC 服用者では確かに 3~9人に増加する.しかし,妊娠では5~20人に増加し,何と産褥12週目までは40~65 人にも増加している.
クリニカルカンファレンス7(ヘルスケア):女性ヘルスケア―外来診療での実際― 1)経口避妊薬,緊急避妊法処方の実際~その普及のためにも~
※OC:低用量ピル
※VTE:深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称
※産褥:出産後、母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間のこと
難しい言葉が並んでわかりにくいかもしれませんが、グラフにするとこんな感じです。
(グラフの数値は最大数で作成)
たしかにピルを服用していない人に比べると、服用者は2〜3倍になっています。
しかし、出産後では10倍以上になっています。
決して出産を恐れて欲しいわけではなく、ピルによる血栓症リスクの度合いを体感してほしいのです。
ちなみに、出産前後で血栓症リスクが上がるのは「出産時の出血から母体を守るために血液の凝固機能が高まる」などいくつかの理由からだと言われています。
ピルによる血栓症のリスクは産後の1/7くらいなんだね!
今までピルだけを無闇に怖がりすぎてたかもな〜。
結構そういう人が多いかもね。
だからって軽視するのはよくないから、血栓症の症状や何科に行けばいいのかを確認しておこう!
血栓症の症状は?もしもの時はどうすべき?
低用量ピル服用中に次のような症状が出た場合は、すぐに循環器内科を受診して下さい。
- 激しい腹痛
- 激しい胸の痛み(息苦しさ、押しつぶされるような痛み)
- 激しい頭痛
- 見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
- ふくらはぎの痛み・むくみ(握ると痛い、赤くなっている)
これらの症状の頭文字をとって「ACHES」と呼ばれることもあります。(英語が得意な方は覚えやすいかもしれないので参考までに↓)
- A:abdominal pain
- C:chest pain
- H:headache
- E:eye / speech problems
- S:severe leg pain
受診する医療機関は「循環器内科」(夜間の場合は救急外来)!!
循環器内科を受診することで、血栓の部位を特定するための超音波エコー検査やCT検査をすぐに受けられるそうです。
血栓の有無を確認するための血液検査(Dダイマー)も可能。
そしてもう一つ大切なこと。受診の際は必ず、
「低用量ピルを服用している」ことを忘れずに伝えてください!
あるいはピルを処方される際にもらう「患者携帯カード」を提示できるようにしておきましょう。
お医者さんが血栓症の疑いを見落とさないために大切なことです。
血栓症の発症リスクを高めてしまう年齢や体質
ピルによる血栓症リスクはそんなに高くないというお話をしましたが、例外もあります。
年齢や体質、生活習慣によっては血栓症の発症リスクを高めてしまう場合も。
次の条件にあてはまる場合は、低用量ピルの服用は避けたほうがいいと言われています。
- 出産後、半年未満
- 40歳以上
- タバコを吸っている、肥満(BMI 25以上)
- キラキラの見える片頭痛がある
- 高血圧・高脂血症
- 日頃からたくさんのお酒を飲む
- 家族に血栓症になった人がいる
こういった判断を正しく行うためにも、ピルは必ず医師に処方してもらいましょう。
ピルの効果などをまとめた記事もありますのでご参考までに。
病院に行きづらいなら「エニピル」がおすすめ
「エニピル」はオンラインで医師の診療が受けられ、ピルを郵送で処方してもらえるサービスです。
(ピルは副作用が落ち着くのに1〜3ヶ月かかると言われているので、試す際は数ヶ月単位で検討しましょう。)
問診票を入力してきちんと医師が診察してくれるので、それぞれの体質や習慣を元に血栓症リスクを判断して処方してもらえます。
詳しくはこちらの記事でまとめています。
まとめ:ピルの血栓症リスクは正しく理解すれば恐れすぎるものではない
- 発症しても適切な治療で治せる
- ピルで発症する確率は低い(産後の約1/7)
ピルの服用による血栓症リスクを理解した上で、リスクよりもピルのメリットの方が大きいと思えたなら、ぜひピルの服用を検討してみてはいかがでしょうか。